Thumbs upper

悪いねよりいいね

ロシアの銃所持事情 -VPO-209の謎-

調べたきっかけ

Escape from Tarkovっていうゲームやってると出てくるVPO-209が、ライフルっぽいのに散弾を利用しているのが謎だったため

ロシアで銃を買うのに必要なこと

ニューヨークタイムズが各国の銃の買い方をまとめた記事を発見しました。アメリカではすぐ銃が買えるけど、他の国はどうなのという単純な趣旨のようです。アメリカの真下に、銃規制が最も厳しいとされ、関係の深い日本が来ているのが興味深いところ

これによると、ロシアでは以下のプロセスが必要です

  1. 狩猟用のライセンスを取得するか、自衛のために銃が必要であることを説明する(多くのロシアの銃所持者はこのプロセスを無視しており、違法な銃が、合法な銃より多いもしくは、合法な銃の3倍存在するとされている)
  2. 「関連法」「銃の扱い」「救急処置」の試験に合格する
  3. 精神疾患やドラッグ乱用の経歴がないことを証明する医師の診断書を入手する
  4. 銃器の安全な取り扱いに関する講習を受け、試験に合格する
  5. 規約に同意する
  6. 身元調査を通過する
  7. 銃器を購入する

www.nytimes.com (日本が一番面倒そうです。他の国も面白いですよ)

なるほどVPO-209

先ほどの最初の項目を見てみましょう

狩猟用のライセンスを取得するか、自衛のために銃が必要であることを説明する

つまり、趣味で持つためには狩猟用のライセンスを取るしかありません。しかもアメリカ議会図書館(日本でいう国立国会図書館)によれば

Proof of no less than five-year possession of smooth-bore barrel guns if applying for a license to purchase rifled-bore barreled guns
ライフリングバレルの銃を購入するためには、スムーズボアバレル<ライフリングの施されていないバレル>の銃を5年以上所持したという証明を(地元の警察署に)提出しなければならない
Firearms-Control Legislation and Policy: Russian Federation | Law Library of Congress

とのことで、ざっくり全く銃器を知らない人に向けて言えば、貫通力低い銃を5年持たないと、貫通力高い銃はライセンスできねぇということなのです

それで出てくる選択肢がセミオートの*1VPO-209。貫通力の低いスムーズボアバレルの銃ではあるのですが、ベースとなった銃はAK-47の派生として有名なAKM。有名なアサルトライフルをベースにすれば、精度や威力がそれなりに*2保証されるだろうというわけです。スムーズボアバレルの機構と相性の良い散弾AKMで使用する7.62x39mm弾はそのまま使用できないので、それをスムーズボアの機構にマッチさせた専用の.366TKM弾を使用します。ライフルを撃つ感覚で使いたいというニーズでしょうからスラグ弾を使用するのが一般的なようですが、バードショット=散弾もあります。合法な10発入りのボックスマガジン*3が使用可能です。ショットガンにありがちな1発ずつ弾を詰める手間がありません。そして、長年使われてきた既製品の派生なので値段が安いです

ロシア人が、ライフリング銃を持つまでの繋ぎとして、安くてAKみたいなスタイルで威力もある狩猟銃を求めた結果が、VPO-209だったのです。すっきりしました。ちなみに、VPO-209を作ったロシアのモロト社が生産しているVepr-12というのもあります。これも同じような構想の基に作られた銃で、AKMの派生であるRPK(モロト社の製品)をベースとしています。Vepr-12の方が有名のようで、こちらの方がネットでは情報を拾えます。後、VPO-208というSKSベースの親戚がいます

おまけ:ロシアでは違法な銃が出回っている??

ニューヨークタイムズの記事で横にさらっと書かれていたこのTIPS。本当なのでしょうか。また上に貼ったアメリカ議会図書館の記事の引用なのですが

According to a report by the Russian Ministry of Internal Affairs (police),[1] at the end of 2012 there were more than 6.3 million nonmilitary weapons registered in the Russian Federation, with a population of 142.5 million.[2] This number includes 700,000 firearms with a rifled bore and 4.2 million firearms with a smooth bore. According to the same report, approximately twelve million guns are held illegally and are not registered.[3]
ロシア内務省の報告によれば、2012年末には、普及している1憶4250万のうち、630万以上の登録された非軍用武器が存在したとされています。この数字には70万丁のライフリング銃と420万丁のスムーズボアの銃が含まれています。同報告では、およそ1200万丁の銃が、違法に所持され登録されていないとしています

つまり、490万丁の合法の民間銃器がある一方で、1200万丁の違法銃器が所持されているというわけです。ニューヨークタイムズの言う「3倍」程ではないにせよ、違法銃器の方が所持されているのは確かなようです。恐ロシア

*1:民間人がフルオートやバーストの銃を撃つことはできません。セミオートのみです。アメリカではコストが膨大な上厳しい審査があるものの一応所持はできるので、この点ロシアは規制が強いと言えます

*2:実際のところ威力は大幅に劣ってしまうようです。使用される.366TKM弾は鉄板を打ち抜くことすらできません

*3:民間人が使用できるマガジンの容量は10発までです。引用した議会図書館の記事にも明記があります