日本のゲーム人口 2018年版
平成最後の年を迎える前に、どれくらいの日本人ゲーマーがいたか見てみましょう。年末というにはちょっと早いですけど
結論
数はおよそです。千人単位の端数は切りました
総数:3001万人(年や月でプレイしてると答えたプレイヤーは除外)
週に1日:376万人
週に2~3日:537万人
週に4日以上:1305万人
<「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)より加工し推計>
他のインドア趣味とも比較
年に200日以上(週に4回以上)その趣味をしていると答えた人の数です。この3項目以外だと、アウトドアも含め、ゲームとは人数が比較になりませんでした
映画館以外での映画鑑賞(テレビ・DVD・パソコンなど) | CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞 | 趣味としての読書 | テレビゲーム・パソコンゲーム(家庭で行うもの、携帯用を含む) | |
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総数 | 2,601 | 15,374 | 6,023 | 13,052 |
10~14歳 | 81 | 866 | 503 | 1,513 |
15~19歳 | 94 | 2,222 | 315 | 1,310 |
20~24歳 | 140 | 2,248 | 201 | 1,201 |
25~29歳 | 133 | 1,782 | 336 | 1,299 |
30~34歳 | 114 | 1,454 | 272 | 1,280 |
35~39歳 | 147 | 1,343 | 313 | 1,453 |
40~44歳 | 166 | 1,430 | 449 | 1,559 |
45~49歳 | 134 | 1,328 | 459 | 1,205 |
50~54歳 | 142 | 879 | 422 | 785 |
55~59歳 | 206 | 673 | 453 | 466 |
60~64歳 | 228 | 418 | 523 | 367 |
65~69歳 | 401 | 377 | 635 | 279 |
70~74歳 | 278 | 163 | 436 | 156 |
75~79歳 | 166 | 107 | 317 | 107 |
80~84歳 | 105 | 57 | 234 | 58 |
音楽鑑賞と肩を並べる趣味であることが分かります。音楽鑑賞は年を取ってからも粘り強いですが、ゲームと同じように50代から人口は低下していきます。CDやMO等のディスク媒体が1980年代に普及し始めたことを考えると、それらを手にした世代が人口として残っているのでしょう
比較ではないですが、ゲームがかなり趣味という80代の5万人は何者なんですか。40代までは均等に人口が存在して、やはりこれまた80年代のファミコン等を手にした人々と考えられます。おっさんゲーマーの皆さんは恥じることなんて何もないと、統計が示していますよ
引用した統計について
社会生活基本調査は以下のリンクから確認できます
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200533&result_page=1
項目別にExcel形式での配布になっています。今回からDB(データベース?)での配布は全ての年で廃止され、WEBから表を出力してダウンロードするのはできなくなりました
私が参照したのは、平成28年の調査の「調査票Aに基づく結果」の「主要統計表」から、表番号4の「男女,年齢,趣味・娯楽の種類別行動者率,平均行動日数」です。こうやって書いてないと、表が多すぎて何を見ればいいのか分かりづらいのが惜しい。素晴らしい調査結果に対してあまり贅沢を言うのは憚られますが、ページごとに調査の説明を付けて欲しいところです(そのためなのか個別ページは用意されているのに、「調査の概要」は同じことしか書いてなくてもったいない!)
引用した調査のサンプルの総数は17万9297人です。流石の数ですね。15歳以上の推定人口は1憶1330万人とされています。調査年月は2016年です。十分最新と言えます
社会生活基本調査について
社会生活基本調査がどのようなものなのか触れておきます。総務省によれば
社会生活基本調査は,統計法に基づく基幹統計『社会生活基本統計』を作成するための統計調査であり,生活時間の配分や余暇時間における主な活動の状況など,国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的としています
このような目的の調査とされています。海外ではTime Use Surveyと呼ばれているものです。このうち、社会生活基本調査(Survey on Time Use and Leisure Activities)は、欧州のHETUSと比較可能なレベルのものになっています(総務省報道)
しかし、アメリカのATUSや欧州のHETUSのような調査は、1日の時間の使い方を重視したものになります。多くに人にとって、知りたいのはそこじゃない!となるはずです。例えば、朝起きて全国平均20分で食事して、会社に全国平均20分で通勤し全国平均8時間仕事をして、夕方帰宅したら夕食を全国(略)20分で食べて、夜は(略)3時間テレビを見て、最後に(略)7時間寝る、というような中で、寝るより仕事している時間が多いと把握するというようなことです。今出した数値は全てでたらめですからね!
一方で、社会生活基本調査からは、どれくらいの間隔で(週2とか月1とか)、何を(スポーツを、テニスを、バスケを、勉強を英語の等々)、やったかが分かります。しかも年齢別・男女別での比較はもちろん、健康状態・就業状態・配偶関係等々との比較もできます(多すぎてわけがわからない)。例えば、子供のいない親のゲーマーはおよそ157万人だが、子育て(子供が高校生までの学生)をしているゲーマーはおよそ340万人もいることが分かるという具合です。子供とゲームで交流している親の様子がうかがえます
また、社会生活基本調査は、ATUSやHETUSのような1日の時間の使い方に関する資料も「調査票B」で提供していて、1日何をしているのかということも分かるようになっています。万能すぎでは
HETUSについては残念なことがまだあり、基準が2008年に作られて放置されてる上に、結果を公表しているサイト(https://www.h6.scb.se/tus/tus/)は2018年をもって期限切れ(expire。当初「閉鎖」と書きましたがそういう意味ではなかったようです。すみません)になります。最新のデータは2007年のもののようでした。そもそもHETUS自体調べてもほとんど情報が出てこない不思議な統計基準。今後どうなっていくのでしょうか
統計を楽しく「!?」紹介する活動も忘れない総務省
社会生活基本調査を選んだ理由
ところで、ゲーム人口を示したものには他にも『CESA一般生活者調査報告書』がありますが6480円(税込)します。高い。図書館にもありません。しかも在庫は持っておらず
申し訳ございませんが、当協会には各調査報告書の在庫を常備しておりません。 そのため、直接お越し頂いてもご購入することが出来ませんので、予めご了承頂きますようお願いいたします
購入方法も面倒です
政府刊行物ホームページにて、ご購入方法『ご利用の手引き』をご確認の上、お申し込み手続きを進めて下さい。 「書籍の検索」ページにて、「検索語句:CESA 」と入力して下さい。書籍タイトルが表示されます
※会員会社の職員、CESA賛助会員の専門学校に通学中の学生の方は、お申し込み方法が異なるためCESAまでご連絡下さい
『ファミ通ゲーム白書』というのもあり、ゲーム人口がプラットフォーム別にまで細かく推定された表の引用がこのページにも書いてありますが、4万円もします。CESAの書籍にしろ、値段なりの苦労があるのは予測できるのですが、一般人には買わせる気がないんだなと思います
gamebiz.jp
他にも国立国会図書館のサイトのまとめを参照しましたが、人口を載せていると思われるものは、どれも有料だったり存在しないページだったりします
ゲーム産業について調べるには(統計・名鑑・インターネット情報源等) | 調べ方案内 | 国立国会図書館
ESAやISFEといった欧米の民間組織は、無料で基本的な情報を網羅したデジタル資料を提供しています。フルプライスの1冊しか並べていないCESAには失望しますし、その提供方法にも疑問を感じます。このような情報は、専門とする人以外にも広く知られていいはずです。ゲームをプレイする人の多くは専門からかけ離れた人々(私も)なのですから、ゲームの発展に貢献する彼らに情報を提供してもいいのではないでしょうか
そのようなわけで、サンプル数も多く信頼性の高い、国の統計を引っ張りました。社会生活基本調査は、先ほども触れましたが、世界的にも稀な素晴らしい調査です。もし海外でその国のゲーム(に限らず様々な趣味の)人口を調べようと思ったら民間の統計を頼ることになりますが、日本では国の統計を使うことができます。感謝ですね
最後に
去年も同じ記事を書いたのですが、マークダウンにしたかったのと、内容も色々手を入れたかったので2018年版として公開しました。去年のは今見るとかなり雑でしたが、今年はちゃんとExcelを眺めて頻度も考慮しました
3000万人中1300万人ものヘビーゲーマーがいるとは驚愕ですが、日本が数多くのゲーム機を生み出した国であると実感することができました(スマホゲーマーも統計にいたでしょうが)。今後もゲームが幅広い層への趣味として普及することを願います