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悪いねよりいいね

おま国とジオブロック

今、Valve(Steamの運営会社)といくつかのゲーム制作会社が不正な協定を結んだとして、欧州委員会から調査を受けるというのが話題になってますね。今回はその話題についてです

欧州委員会と競争規制

 

そもそも欧州委員会とは、EUの行政機関です。 かなり色々なことをやっていて、正直1つも知らないことだらけなのですが、公正取引委員会のようなこともやっています。詳しくはこちら

 

EUの競争政策とは何ですか? | 駐日EU代表部公式ウェブマガジン EU MAG

 

見ての通り、日本や米国の企業にもかなり介入しています。掲載事例が2009年ですが、最近でも多数介入しています。 日本の公正取引委員会が、海外当局の動きとして、翻訳したプレスリリースをいくつか公表しているので参考になるでしょう

 

http://www.jftc.go.jp/kokusai/kaigaiugoki/eu/index.html

 

ここに載っていない日本企業への最近の制裁事例としては、こんなものがありました

www.euinjapan.jp

 

他にも調べたら出てくると思いますが、ここまでにしておきましょう

 

 

事件の概要

 

今回の事件のプレスリリース原文はこちらになります

 

European Commission - PRESS RELEASES - Press release - Antitrust: Commission opens three investigations into suspected anticompetitive practices in e-commerce

(欧州委員会は、電子商取引における不正競争活動の容疑について、3件の調査を開始した)

 

この調査のうち、Video Gameの分野で、Bandai NamcoCapcomといった日本企業が名指しされました。ついでに家電の分野では、Denon、Marantz、Pioneerの名前が見えます。結構海外ではひっそりとやらかしてるんですねぇ・・

 

Video Game関連の容疑はgeo-blockingと呼ばれるものだそうです。geoは地域のことですね。いわゆる「おま国」の一種で、ユーザーの地域によってオンラインサービスへのアクセス制限をかける行為を指します。「お住まいの地域では御覧頂けません」というような表示を何かしら見たことがある人もいるでしょう。あの類です。特にPCゲーマーは散々悩まされてきたと思います

 

※ちなみにレンタルビデオやゲームを扱うGEO(ゲオ)は、このgeo(ジオ)をラテン語読みしたものだそうですよ

 

EUにおけるジオブロッキングは長らく問題となっていました。しかし、規制は随分最近に決まっています。2016年11月28日に、欧州理事会において、加入国間の不当なジオブロッキングを排除する規制案が可決されました

Geo-blocking: Council agrees to remove barriers to e-commerce - Consilium

 

この最近の規制を受けての調査の一つが、今回の事件であると言えますね

 

おま国がなくなる?

 

巷ではそんなことが言われています。しかし、これはEUの規制であることに注意しなければなりません。日本で規制しても問題ない可能性があります

 

その可能性の例を1つ挙げます。以下はフランス(現在EU加盟)のデベロッパーUbiがリリースする予定である"Ghost Recon Wildlands"のGamesplanetにおける販売ページの一部です。まずEUでは規制をかけていませんね。これはジオブロッキングに引っかかるからです。問題は、規制をかけている国があるということです

f:id:tsukudatsuku:20170203175214p:plain

 

そしてこれが、規制されている国のリストです

f:id:tsukudatsuku:20170203175849p:plain

 

今回、大手であるUbiは調査対象ではありません。つまり、加盟国内でのジオブロックさえなければ問題ないと捉えることができます。恐らくBandai NamcoCapcomもEU圏内での何らかのジオブロッキングをやらかしたのでしょう。日本でのおま国は調査対象外だと思います

 

なので、日本でのおま国は、今後も制作会社の意向次第となっていくことが予想されます

 

 

ジオブロックという概念

 

今回の調査で、おま国が、実は国際問題で、EUでは違反ということが、だいぶ明るみになったと思います。ジオブロックというワードは今回初めて知りました。おま国はgeo-blockingと言うと通じやすいと考えると、地味にゲーマーとしてはタメになりますね

 

ここからは短絡的なことを書いていきますが

日本のゲームメディアによればEUでおま国を調査するらしい→容疑はジオブロック→日本人ゲーマーのジオブロックへの関心が高まる→日本語のジオブロック資料が増える→ジオブロックがゲーマー以外にも知られる→日本でもジオブロック廃止の声が高まる

というようなことを期待しています(笑)

 

しかし、見たところ、メディアでは、geo-blockingではなく独占禁止法違反という書き方で取り上げているので、期待は外れそうです。おま国がなくなるという勘違いは、多分ここから来ています。独占禁止法、その字面から、日本の公正取引の考えと合致するように思われているのでしょう。そして、じゃあ日本でも規制になるじゃんと考えるわけです。でもこれはAntitrustを翻訳してこうなっているだけです。実際は各国で公正取引の考えは異なります。日本でジオブロックを規制するような話は、調べた限りでは見当たりませんでした

 

もしジオブロックと書いていれば、なんだそれはとなって、うわ日本語の情報ねぇや、なるほど海外での規制の話で、日本にはない概念なのねーとなったと思うのです。ちょっと残念ですね・・

 

でも、この記事を見ている皆さんは、ジオブロック、覚えたと思います。おま国をやめさせろ!EUのジオブロック規制を導入しろ!って感じに使っていきましょう(笑)